マスク研究12 「仮面ライダースカル」 [マスク研究レポート]
劇場版 仮面ライダーWシリーズに登場した「スカル」。
変身者である鳴海壮吉はテレビシリーズ本編ではすでに故人であり、直接の登場はなかったものの、
ダブルの主人公らの行動理念や心理背景を裏打ちする存在として欠かせないキャラクターでした。
往年の昭和ライダーを髣髴とさせるマフラーをなびかせ、
変身前と同じ愛用のフェドーラ帽をかぶり怪人に立ち向かうスカル。
落ち着いた存在感を持つ一方で、専用の銃によるガンアクションや、
演者である吉川晃司さんのライブ・パフォーマンスにちなんだ独特のハイキックを繰り出すなど、
多彩なアクションが印象的でした。
スカル(skull)の名が示すように、人間の頭蓋骨をイメージしたマスクに帽子をかぶせた独特のデザイン。
初代仮面ライダーがバッタ顔のデザインに決まる前に、
石ノ森先生が提出したライダーのデザインはガイコツのイメージで描かれたスケッチだったそうです。
後にこのデザインはスカルマンという石ノ森先生の萬画のキャラクターとして描かれますが、
企画当初は不気味さなどから変更を余儀なくされバッタの顔へ辿りついたようです。
スカルはTV本編の時系列的にダブルの誕生以前に活躍していたライダーであり、
ダブルの前身とも言えるスカルの存在は仮面ライダーの出自そのものと重なります。
スカルは時代を超えて先祖がえりを果たし、
まさに換骨奪胎、 より洗練された石ノ森ヒーローとして現代に生まれ変わりました。
頭蓋骨の眼窩(がんか)をそのままライダーの複眼として見立て、
鼻骨下の空洞部分を昭和ライダーによく見られる、”涙ライン”的な配置にすることで、
ガイコツの表情に仮面ライダーらしさが添えられています。
複雑な頭蓋骨の”線”をライダー的に整理し、
なおかつヒーローとしての凛々しさを兼ね備えた見事な造形です。
複眼下の頬骨とアゴ骨の”スキマ”にあたる黒塗りになった部分の形状が、
口角のつり上がった不敵な笑みを浮かべているかのような表情をマスクに与え、
ガイコツらしいアゴの骨格を再現しながら形状を整理しています。
また、頭部側面には主役「ダブル」のマスクにも見られる段差上のラインが刻まれており、
ダブルと同じガイアメモリの戦士としての共通イメージを持たせつつ、
シンプルなヘルメットをさりげなく引き締め、造形上の間延びを防いでいます。
スカルのデザイン初稿決定時は帽子などのない姿で完成されたそうです。
このスカルに対するデザイナーの息子さんの反応がいまひとつ良くなかったことを受けつつも、
ツノやアンテナなどの突起物は付けない、というオーダーをかいくぐって生まれたアイデアが、
物語で印象的だった”帽子”をかぶせることだったそうです。
(仮面ライダーW公式読本138Pコメントより)
目立った凹凸のない人間に近い頭部造形ゆえに違和感なく帽子が似合うこのマスク。
ダブルライダーのマスクにはそれぞれイニシャルのアルファベットが象られていますが、
スカルは額にイニシャルのSが刻まれています。
直線的にアレンジされたS字は頭蓋骨の縫合線・ひび割れなどに見立てた形で、
シンプルなスカルの頭部に対してインパクトのあるトレードマークになり、
S字のハネ部分は赤いOシグナルとしてデザインされています。
帽子をかぶることで頭の”S”が隠される、これは劇場版「仮面ライダースカル メッセージforダブル」で、
鳴海壮吉が娘に仮面ライダースカルであることを告げずに闘っていたことを
結果的に象徴するものとなっていたのが印象的でした。
スカルは物語のバックボーン(背骨)を支え、ダブルの世界観に奥行きと広がりをもたらしました。
スカルが仮面ライダーダブルのドラマに与えた影響はもはや数え切れるものではないでしょう。
おめもじでした。
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