SSブログ

マスク研究15 「仮面ライダーガタック」 [マスク研究レポート]

ライダーガタック3.0.jpg


仮面ライダーカブトの中盤より登場した「仮面ライダーガタック」。

カブトは斬新な新しいヒーローが生み出されてきた平成ライダー作品の中で、
原点回帰となるカブトムシをはじめとする「昆虫」をイメージしたライダー達が活躍しました。

その中でカブトムシと並ぶ人気を誇る「クワガタムシ」を模ったライダーがガタックでした。

クワガタの大アゴを模した2本の曲刀を使った剣戟、
ダイナミックな回し蹴りなど、キレのあるパワフルなアクションが魅力のライダーです。

ガタック正面2.0.jpg
頭部左右からそびえ立つ2対のツノが印象的なライダーフォームマスク。

ガタックは「仮面ライダーカブト」において準主役級の存在でしたが、
主役のカブトとは正反対の性質のキャラクターを強調するかのような、
鮮やかなデザイン上の対比をマスクに見ることができます。

赤いマスクの中央からそびえる大きなツノを持ち、青い複眼の「カブト」に対して、
青いマスクに左右2本のツノを持ち赤い複眼を持つ「ガタック」。

この配色はちょうど「カブト」の赤いマスクと青い複眼を反転させたもので、
互いの存在を引き立てあう色合いになっています。

また、造形面でもマスクの両側面から中央に向かうシルエットのガタックのツノと、
中央から伸び、外へ広がるカブトのツノはデザインにおける重心の取り方が対称的です。

さらに全体的になめらかなカーブを描く造形で仕上げられたカブトのマスクに対して、
ガタックは主に直線的なラインで立体化されたことで、それぞれの個性が光ります。

こういったキャラクターのシルエットやラインに一定の特徴を与えることで、
各ライダーをより魅力的なものに仕立てていることがわかります。

ガタックホーン2.2.jpg
クワガタムシの大アゴを象徴するガタックのツノ。
劇中では変身直後に頬のヒンジを軸にマスクをはさみこむ形でツノをせり上げる操演が見られました。

このマスク造形の要となるツノですが、大きな特徴ゆえに特に目立ちます。
ある程度の鋭さを感じられる形状でなければ野暮ったく見えてしまい、
かといって鋭さを表現するため単純に細くしてしまえば、小道具としての強度が損なわれてしまいます。

こういった点を見事に解消しているのが、ツノの突起を縁取るように配色された黄色です。
トゲの輪郭を削るように配色されることで、青いトゲ部分の鋭さを強調しつつ、
メインカラーの青色との補色効果を生み出し、「挿し色」として実に良く機能しています。

ガタック後頭部2.0.jpg
ツノの迫力をより際立たせる工夫は頭部のカラーリングにも見られます。

ポイントは頭部中央の黒。これは特にマスクを正面から見たとき、
中央をあえて影のように黒くすることで、
より左右のツノが目立つように意図された色彩設計なのではないでしょうか。
普通の発想ではキーカラーである青を入れそうですが、そこはキャラクター造形において
何が1番の肝になるのかを明確に絞った結果、この配色に至ったと考えられます。

また、青いツノの根元のヘルメット部分は青いカラーリングが施されて色が統一されており、
迫力のあるツノの長さ・太さが損なわれず、後ろから見てもツノが貧弱に見えません。

ガタック複眼2.0.jpg
ツノが目立つガタックですが、マスクそのものも実に丁寧にデザインされており、
特に複眼とジャバラ状の口元との「境目」の処理が絶妙です。

説明のため仮に、複眼のカタチを正五角形として見たとき、
シルバーの口元にとなり合う複眼の一辺が青い「ヘの字」ラインと一直線になり、
また、口元を横に走るジャバラ状の線が同じく複眼の一辺と一直線にラインがつながり、
ちょうど複眼五角形の一番下のカドを中心に☓字を描くように線が交差しています。

ツノ以外のマスク自体はシンプルに見えながらも、線の多いデザインですが、
線の流れが丁寧に整えられており、不必要にゴチャゴチャした印象を与えないこの処理こそ、
ガタックの精悍な表情を成立させている大きな要素ではないでしょうか。

ガタックホーン2.0.jpg
ガタックの複眼の下からは通称「涙ライン」と呼ばれている、
石ノ森ヒーローに見られる涙の跡のような意匠が見られます。

「仮面ライダーカブト特写写真集 復刻版」の76Pにはガタックのデザイン完成までに、
石森プロの早瀬マサトさんの意見によって、
よりライダーらしさが強調されたという経緯を示す文章があります。

当初はツルッとシンプルだった口元も、
クラッシャーを思わせる段形状に仕上げられたことが紹介されており、
複眼の下も涙ラインをアレンジしたライダーらしさのアクセントだと考えられます。


カブトのライダーでは主に歴代の仮面ライダーに縁のある昆虫のイメージが取り入れられていますが、
過去にクウガのマスクデザインの方向性を決める上でキーとなったのが、
石森プロから提案された「クワガタ」をイメージしたデザイン群だったそうです。

平成ライダーの原点であるクウガ、
ひいてはクワガタのイメージを持つ平成ライダーはガタックの他にも複数登場してきました。
ブレイドのギャレン、オーズのガタキリバコンボもクワガタライダーとして知られています。

もともとクワガタムシの名前は鍬形という日本兜の装飾が由来になっていることから、
”カブト”と”クワガタ”はお互い切っても切れないものなのでしょう。

おめもじでした。


関連記事
マスク研究02 「仮面ライダーサソード」
マスク研究08 「仮面ライダーザビー」
仮面ライダーカブト特写写真集

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーガタック



nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 1

NO NAME

初めまして
クワガタライダーの比較みたい記事が読みたいです!
by NO NAME (2013-11-15 00:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

ブログ掲載の文章・写真の使用について ●仮面ライダーデザイン研究所●に掲載されたすべての写真・文章は、 他の媒体、【各種ウェブページ、ブログ・サイト・SNS】などへの利用も自由ですが、 その際に当ブログが出展元であることを必ず明記してください。 可能な限り、当ブログあるいは出展元ページのアドレスのリンクを貼ってください。 ●営利目的(お金の絡むこと、オークションサイトも含む)への使用は、問い合わせフォーム又はコメント欄でお問い合わせください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。