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マスク研究09 「仮面ライダー歌舞鬼」 [マスク研究レポート]

ライダーカブキ2.0.jpg


劇場版 仮面ライダー響鬼「7人の戦鬼」に登場した歌舞鬼。

テレビシリーズの時代を遡った時代劇調の舞台で、日本全国の鬼戦士らが集結したその一人、
江戸(東京)出身の歌舞鬼は名前通り、江戸歌舞伎をイメージした鬼であり、
初登場時には桜吹雪に包まれながらの変身を披露、見得を切った構えが印象的でした。

また、歌舞伎に使われる小道具「番傘」を携え、トリッキーな戦術で響鬼を翻弄する活躍を見せました。

カブキ正面1.1.jpg
響鬼の端正な表情を大胆に崩し、左右非対称・いびつな造形でアレンジすることにより、
悪役としてのキャラクター性を造形で表現した歌舞鬼のマスク。

この色使いは歌舞鬼が物語の終盤で鬼戦士たちを裏切る「二面性」を表現したもので、
濃いの配色は歌舞伎舞台に使われている狂言幕の彩りをあてはめたもの、
という意図が”仮面ライダー響鬼 特写写真集「魂」”で解説されています。

カブキ左側面1.1.jpg
数多くのライダーの中でもとりわけ左右差の際立つマスクの歌舞鬼。

デザインのルーツは仮面ライダーの生みの親、石ノ森章太郎の作品「人造人間キカイダー」に見られる、
揺れる善悪の2面性を右半身と左半身で「色違い」にすることで表現した手法に辿ることができます。

緑色の左半面は響鬼のマスクにごく近い表情をしており、
このデザインから読み取れることは、歌舞鬼は完全に怪人側に心を売ってしまったわけではなく、
響鬼のような鬼戦士本来の志があった名残を象徴するのが、
左半面の造形の特徴だと言えるのではないでしょうか。

劇中では最終的に悪役となったものの、子供に危害を加えることを許さない人物像が描かれています。

カブキ右側面1.1.jpg
そして右半面はいびつで大きなツノが生え、より鋭い視線を感じさせます。

左に比べて明らかに大きなツノは、
鬼の使命を忘れ、悲しみと憎しみに心奪われた歌舞鬼の心境を物語るかのような、非常に荒々しい造形です。

劇中では過去に村の人間から迫害を受けた悲しみが憎しみに変わってしまったことが語られています。

赤に近い橙色のツノの根元部分は広く色が配されており、
あらゆる角度から見ても緑と赤の補色効果が発揮されやすく、
画面に映るマスクの色彩をより際立たせるものになっています。

この色彩も相まってトゲトゲしさの目立つ隈取りラインは、
ぐねりと先端が曲がって折り返していることから、これも曲がってしまった鬼戦士を象徴するものなのだと思います。

カブキ額1.1.jpg
響鬼ライダー共通の特徴である額の鬼面。

響鬼の鬼面と比べてやや目つきが鋭く、釣り上がった眉間の造形が、
悪役ライダーとしての個性をさりげなく演出しています。

鬣(たてがみ)もマスク同様に左右非対称に仕立てられ、
細部にもキャラクターイメージを反映させた意匠が追及されています。

カブキ仰角1.1.jpg
響鬼ライダーマスクの特徴である隈取りの由来「歌舞伎」を体現した歌舞鬼。
~鬼=~キという共通のネーミングにも合致する響鬼ライダーでは外せない題材だったのではないでしょうか。

7人の戦鬼ディレクターズカット版では裏切った歌舞鬼の最期が描かれており、
仲間を裏切った末に、怪人にとどめを刺されるという「裏切り」に彩られたライダーでした。

おめもじでした。


関連記事
マスク研究20 「仮面ライダー弾鬼&鋭鬼&裁鬼」
マスク研究13 「仮面ライダー煌鬼」
マスク研究05 「仮面ライダー轟鬼&斬鬼」


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